外国株式(ETF含む)の配当金は国際的な二重課税を調整するため、確定申告を行うと一部控除されます。
これがいわゆる「外国税額控除」と呼ばれるものです。
確定申告(e-tax)により外国税額控除を受けることができますが、そのやり方が非常にわかりにくく、特に確定申告初心者の方は苦労すると思います。
そこで今回は確定申告に不慣れな方のために、楽天証券とSBI証券の配当案内を使って確定申告(e-tax)で米国ETFの外国税額控除のやり方について具体的に解説したいと思います。
- 一般的なサラリーマンの方(給与所得のある方)を対象とさせていただきます。
- 年末調整は既に終わっているとさせていただきます。
- ふるさと納税(寄付金控除)や医療費控除などのやり方については割愛させていただきます。
令和5年分の確定申告は令和6年2月16日(金)から同年3月15日(金)まで。
申告書の入力は令和6年2月16日(金)以前から可能ですので、時間がある時に入力・保存をおすすめします。
確定申告(e-tax)で用意する物
まずは準備するものです。
- 源泉徴収票
- 配当案内(楽天証券、SBI証券 等)
- マイナンバーカード
- マイナンバーカードを読み取れるスマホ(もしくはマイナンバーカード用のカードリーダー)
- 電卓
配当案内は次のような書類です。
確定申告(e-tax)での外国税額控除のやり方
では、さっそく始めましょう。手順としては次の通りです。
- 下準備と給与所得の入力
- 外国税額控除等の入力
下準備と給与所得の入力
国税庁 確定申告書等作成コーナーにアクセスし「作成開始」をタップします。
「スマートホンを使用してe-Tax」または「ICカードリーダーライタを使用してe-Tax」をタップします。
※ここでは「スマートホンを使用してe-Tax」を選択して説明をさせていただきます。
利用可能なブラウザは次のとおりです。
- Windws
- Microsoft Edge(Chromiumベース)
- Google Chrome
- Firefox(ID・パスワード方式のみ)
- Mac
- Safari(バージョン16.6以上)
「令和5年分の申告書等の作成」を選択し
「所得税」をタップし
マイナポータルと連携する、しないを選択します。
※どちらを選択しても構いませんが、ここでは連携して申告書を作成します。
マイナポータルと連携すると
- 確定申告書作成に必要な控除証明書等情報
- 医療費通知情報
などを取得することができます。
スマホに「マイナポータル」をインストールする必要があります。
「マイナポータル」をインストールしていない方は「次へ進む」をタップして表示されたページにアプリインストール用QRコードがありますので、ご活用ください。
「利用規約に同意して次へ」をタップします。
「次へ進む」をタップし
表示されたQRコードを
スマホの「マイナポータル」アプリを起動し、
QRコードを読み取ります。
4桁のパスワードを入力し、
スマホをマイナンバーカードにかざし「読み取り開始」をタップします。
QRコードを表示していた画面が切り替わりますので「次へ」をタップします。
表示される指示に従って進めていくと確定申告作成コーナーに移動します。
「次へ進む」をタップして申告書等を作成しましょう。
「申告書の作成」となりますが、ここは質問に沿って回答すればいいだけですので、詳細は割愛させていただきます。
ただし、「e-Taxにより税務署に提出する。」のチェックは入れ忘れないようにしてください。
なお、「以下の控除の他に、社会保険料控除や表控除などの控除を追加して確定申告書を作成したり、年末調整の内容を変更をしますか?」は必ず「はい」を選択してください。
ここで「はい」を選択しないと外国税額控除等を入力する項目が選択できなくなってしまいます。
この後給与所得の入力が必要になりますが、源泉徴収票を見ながら表示される指示に従い必要事項を入力するだけです。さほど難しくはありませんので、説明は割愛させていただきます。
外国税額控除等の入力
それでは外国税控除等の入力です。
「税額控除・その他の項目の入力」ページを下にスクロールします。
「外国税額等控除」の「入力する」をタップします。
「外国税額控除額の計算がお済みでない方」にチェックを入れ、①~⑧までは次の様に入力します。
①~⑧の入力内容は米国のETFであればすべて同じになります。
- 米国
- 配当
- 源泉所得
- 源泉(プルダウンによる選択)
- 令和3年1月1日(令和3年の確定申告の場合)
- 令和3年12月31日(令和3年の確定申告の場合)
- ベイコクドル(全角のカタカナで)
- ベイコクドル(全角のカタカナで)
「本年中に納付する外国所得税額」を入力します。
まずは、楽天証券の配当案内を元に入力しましょう。
配当案内の①~⑥を申告書に書き写します。
- 納付確定日 令和3年3月24日
- 納付日 令和3年3月26日
- 相手国での課税標準 外貨 88.43
- 左に係る外国所得税額 8.84
- 相手国での課税標準 円 9,518
- 左に係る外国所得税額 円 951
つづいてSBI証券の配当案内を元に入力します。
- 納付確定日 令和3年9月27日
- 納付日 令和3年9月29日
- 相手国での課税標準 外貨 7.24
- 左に係る外国所得税額 0.72
- 相手国での課税標準 円 801
- 左に係る外国所得税額 円 79
本年中に納付する外国所得税額の入力が全て終わったら「調整国外所得の計算」を入力します。
「調整国外所得の計算」に入力する金額は「相手国での課税標準 円」の合計金額となります。
具体的には9,518+801=10,319となります。
最後に「前3年以内の所得税の控除限度額等」を入力します。
ここでは令和2年の確定申告しか行っていないため、令和3年の確定申告では赤枠で囲った令和2年分のみ入力します。
令和2年の申告書を元に872と入力します。
以上で外国税額控除等の入力は終了です。
まとめ
いかがだったでしょうか?無事確定申告が済んだでしょうか?
還付される税金は一般的なサラリーマンの年収ですと外国に納めた税金の約4割程度となります。
もしそれより大きく外れるような金額が表示されたのであれば、どこか入力が間違っている可能性がありますのでもう一度確認することをお勧めします。
また、翌年の確定申告に今回申告した内容が必要になりますので、申告書の控えは必ず保存しておいてください。
では、みなさんの参考になれば嬉しいです。