AnkerのPowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブルはPD対応のUSBケーブル。Amazonでの評価も高く、コスパの良いケーブルです。
ただし,高速データの転送には不向きなケーブルと言えます。その理由は、転送速度は480Mbpsと決して速いとは言えないからです。
「転送速度が480Mbpsなら、それなりに速いのでは?」と思われた方。ひょっとしたら単位を読み間違っているかもしれません。
データ伝送速度を表す単位には「Mbps」と「MB/s」の2つがあり、「Mbps」は主に回線の通信速度を表すのに使われ、「MB/s」はハードディスクやSSDなどの転送速度を表すときに使われます。
480Mbpsを「MB/s」に変換すると60MB/sしかないのです。
もし、高速データ通信用にUSBケーブルを選ぶならバッファローのUSB3.1 Gen2ケーブル PD3A(最大転送速度:10,000MB/s)を選んだ方が良さそうです。
ではこの後AnkerのPowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブルの転送速度を実測しつつ詳しくレビューしますので、興味のあるかたは続きをチェックしてください。
Anker PowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブルはPD対応・最大60Wの高出力ケーブル
AnkerのPowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブルはPD対応(最大60W)のUSBケーブル。PD対応(18W)の充電器を使用することで、Galaxy S10を30分で50%まで充電することが可能です。
25,000回以上の厳しい折り曲げテストにクリアし、高い耐久性を実現しました。
Amazonでは13,900個(2023年12月時点)以上の評価で星4.4。高い評価を得ています。
カラーはブラックとホワイトの2色展開。
長さはブラック、ホワイトともに0.3m、0.9m、1,8m、3.0mと4サイズ展開となっています。
PowerLine III と PowerLine III Flow は似て非なるケーブル
AnkerにはPowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブルの他にPowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブルがあります。
Flowが付くか付かないかで名前がよくていますが、中身は似て非なるケーブルです。
PowerLine IIIの最大出力が60Wなのに対しPowerLine III Flowは100W。また、シリコン素材を使うことで従来にない柔らかさを実現しています。
違いを表にまとめましたので参考にしてください。
商品名 | PowerLine III | PowerLine III Flow |
充電速度 | PD対応 最大60W | PD対応 最大100W |
データ 転送速度 | 最大480Mbps | 最大480Mbps |
強さ | 25,000回の折り曲げテストにクリア | 25,000回の折り曲げテストにクリア |
カラー バリエーション | ブラック ホワイト | アイスブルー クラウドホワイト ミッドナイトブラック ミントグリーン ライトパープル ラベンダーグレー レモンイエロー |
ケーブル長 バリエーション | 0.3m 0.9m 1.8m 3.0m | 0.9m 1.8m |
その他 | ー | シリコン素材の採用で従来にない柔らかさ |
Amazonで見る | Amazonで見る |
Anker PowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブルは高速データ転送には向かないかも
結論から言うと、PowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブルは高速データ転送には向かないな、と、わたしは思っています。
その理由をお伝えする前に、ちょっと小難しいですが「MB/s(メガバイト/秒)」と「Mbps(メガビット/秒)」の違いを先に解説したいと思います。その後でAnker PowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブルのデータ転送を実測した結果をお伝えします。
実測結果を見ていただければPowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブルが高速データ転送に向かない理由がご理解いただけるでしょう。
「MB/s(メガバイト/秒)」はSSDなどの転送速度を、「Mbps(メガビット/秒)」回線の通信速度を表すのに使われる
MB/s(メガバイト/秒)」とMbps(メガビット/秒)は、どちらもデータ伝送速度の単位です。しかし、データ量の単位が「B(バイト)」と「bit(ビット)」と違っています。
1B=8bitなので、Mbpsの単位で表した数値を8で割ったものがMB/sになります。例えば、80Mbps(80メガビット/秒)は、10MB/s(メガバイト/秒)と同じになります。
MB/sはハードディスクやSSDなどの転送速度を表すときに使われ、Mbpsは主に回線の通信速度を表すのに使われます。
では、Anker PowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブルはデータ転送はどれくらいでしょうか?
480MbpsとAmazonの商品ページに記載されています。
単位が「Mbps」。なぜか、主に回線の通信速度を表す単位で記載されています。
そこで、主にハードディスクやSSDなどの転送速度を表すときに使わる単位「MB/s」に変換すると
60MB/s(=480Mbps)
となります。
WD_BLACK D30にPowerLine IIIに繋げて転送速度を測定してみたら・・・
ウエスタンデジタルの外付けSSD WD_BLACK D30(2TB)にAnker PowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブル(0.9m)を繋いでデータ転送速度を計測してみました。
WD_BLACK D30(2TB)の転送速度は最大900MB/sと記載されています。
使用したPCとアプリは次の通り。
- M2 Mac mini (8コアCPU 10コアGPU)
- メモリ:16GB
- SSD:256GB
- アプリ
- AmorphousDiskMark
測定結果は次の通り。
おやおや?WD_BLACK D30のカタログスペックに全く届かない転送速度ですね。
それもそのはず。Anker PowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブルの最大転送速度は60MB/s(=480Mbps)。どんなに頑張ってもWD_BLACK D30のスペックを活かせるだけの転送速度を出すことはできないのです。
PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブルもデータ転送は480Mbps(=60MB/s)ですので、同じような測定結果が予想されます。
では別のケーブル。例えばバッファローのUSB3.1 Gen2ケーブル PD3Aではどれくらいの転送速度なのでしょうか?実際に測定してみましょう。
WD_BLACK D30にバッファローのUSB3.1 Gen2ケーブル PD3Aを繋げて転送速度を測ると
WD_BLACK D30にバッファローのUSB3.1 Gen2ケーブル PD3Aを繋げてデータ転送速度を測定してみましょう。
バッファローのUSB3.1 Gen2ケーブル PD3Aのスペックは次の通りとなっています。
- 対応規格:USB 3.2(Gen 2)/3.0/2.0/1.1
- 最大転送速度:10Gbps
- 最大電圧/電流:最大20V/最大3A
- USB Power Delivery(PD)対応:最大60W
これくらいの転送速度が出ているのならWD_BLACK D30のスペックをほぼフルに使っているといってもいのではないでしょうか?
参考に、WD_BLACK D30に付属のケーブル(TypeA-TypeC)はどれくらいの転送速度なのでしょうか。
転送速度を測定すると、次のような結果になりました。
この結果を見ると、WD_BLACK D30のスペックをフルに使いたいならケーブルは交換した方が良さそうですね。
まとめ【レビュー】Anker PowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブル 〜高速データ転送には向かないかも・・・〜
AnkerのPowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブルはPD対応のUSBケーブル。Amazonでの評価も高く、コスパの良いケーブルです。
ただし、データの転送速度は480Mbps(=60MB/s)と決して速いとは言えないため、高速データの転送には不向きでしょう。
もし、高速データ通信用に選ぶならバッファローのUSB3.1 Gen2ケーブル PD3A(最大転送速度:10,000MB/s)を選んだ方が良さそうですね。
では、皆さんの参考になれば嬉しいです。